先日からインターンに来ているWさん、本日は2週間の研修生活最大の山場、
対話型鑑賞法によるギャラリートークに挑戦しました!観客は・・・なんとわが愛媛県美術館
作品ガイドボランティアのみなさんです!

美術館では月に2~3回程度、ガイドスタッフのスキルアップのために、ふだんの
コレクショントークの時間帯を使って、
「模擬トーク」というトークの練習日を設けています。しかし練習日といっても、見た目はコレクショントークとなんら変わりはありません。ふだんどおりにトーク開催のアナウンスもありますし、当然れっきとしたお客さんも参加されます。本日のトーカーは3名。そしてトーク作品どうしの関係から、トップバッターは必然Wさんに!!!(トップ以外の選択肢はラストバッターしかありませんでした・笑)
そして、その事実が平然とyukinkoの口から告げられるやいなや、「・・・トークのアナウンス時間をずらすわけにはいきませんか?つまり私がやっている時はアナウンスなし、スタッフのみなさんが行う時にはアナウンスあり!」とWさんから泣きが・・・。実はWさん、大学の同級生以外の前でトークを行うのはなんと『今日が初めて』。これは・・・相当緊張するだろうなあと思いました。社会人になって、すでに1×年、もはや心臓は分厚い剛毛状態のyukinkoでも、トークが始まる前は毎回お腹が痛く、昼食もいつもの半分(本当です!)になり、「慣れる」ということはいつまでたってもあまりありません。ですので、Wさんのおかれた状況は痛いくらい、そしてものすご~~くよくわかるのです、が・・・そこは剛毛生えてる鬼のyukinko、「むふ~」と笑って突き放しました。もうやるしかない!!
そして、トークの神様もやはりWさんを見ていました。本当に直前まで「ボランティアスタッフのみなさんだけだったらいいのにな~な~」と願っていたWさん。願いはついに聞き届けられませんでした・・・。そう、「本物の!」お客さんも入って来られたのです!

今回、Wさんの使ったトーク作品はジョージ・シーガルの《メイヤー・シャピロの肖像》とグスタフ・クリムトの《接吻》。スライドでのトークとなりました。通常、コレクショントークは展示室の本物の作品を使って行われるのですが、どちらも大学の後期に行われる実際のお客さんの前での実践トークの候補作品、ということで、「同級生ではなく、いろいろな年齢層の方たちの意見を聴きたい!」というWさんの意志を中心に今回はスペシャルバージョンで実施することになりました。しかも、とりあげる作品は最初は一つだけだったのですが、途中からやってみたい!という彼女の意志で最終的にはなんと二つになりました。Wさんガッツがあります!

そして、トークはどうだったのかというと・・・序盤、やはり緊張か・・・!?に見られたWさん。しかし、それは、ほんのちょっとだけでした(笑)。その後は、スクリーンに映し出された作品を「みて」、(本当に)遠慮なくバンバン手(意見)があがるガイドスタッフのみなさんと一緒に、あれよあれよという間にその場に非常にリラックスした、「みる」ための良い環境を創り出してゆき・・・、しかも最初は黙っておられたのですが、トークの楽しさにすっかりリラックスされた「本物の」お客さんが、2作品目の《接吻》から積極的に(楽しそうに!)発言を始める!といううれしい事態にまで陥ってしまい、最後はお客さんからの本当にあたたかな拍手に包まれて、Wさんの初挑戦は終わったのでした・・・(よかった!)。

トーク終了後、ガイドスタッフからは「ジョージ・シーガルのあの作品、ものすごく面白かった。今度展覧会があったら、本物をもっとじっくり見てみたい」という声や「クリムトの《接吻》って今まで、ただ表面だけ見て、綺麗だなあとしか思ってなかったけれど、やっぱりじっくりみると違うねえ」という声が聴かれました。これは、今回のWさんの「お客さんと一生懸命向かい合ったトーク」が、お客さんの作品を「みる」楽しさを、またもうひとつ拡げた確かな証です。
作品を鑑賞するためのプログラムを実施する際、一番大切なことは、それが終わった時、お客さん(鑑賞者)に、「次も、この先も、もっとみてみたい」「“みる”ことは楽しい」と思ってもらえることだと私は考えています。お客さんが美術館から帰って自宅についた後、その記憶に残るものはトーカーの知識量でも、話術の巧みさでもなく・・・今日「みた」その作品の記憶が残ってこそ、トークは本当に成功なのだと思っています。
最後に、ちょっとだけ見せてもらったWさんの反省レポートにあった言葉を紹介して本日の終わりにしたいと思います。
「お客さんとともに私も楽しめました。とても楽しかった。」
『ともに楽しめた』この言葉で今日のトークがどんな場だったか、みなさんにも十分、伝わりますでしょうか。