愛媛県美術館のブログ

愛媛県美術館の日々の活動をちょっとずつ書き込んでいます。 美術館の事業準備状況、イベント報告、ある日の出来事などなど、美術館の活動を垣間見ていただけるように頑張ります。

2010年2月20日土曜日

きらめいて

本日から、2階常設展示室1・2にて「みづゑのきらめき 中川八郎、大下藤次郎と近代日本の水彩画」がスタートしました!3月22日(月・祝)まで開催します。
わが国における「水彩画の父」と言われる大下藤次郎(1870-1911)と、同じく水彩画草創期の代表的存在である本県出身の中川八郎(1877-1922)。この2人を中心にして、明治後期から大正期にかけてのいわゆる水彩画全盛期の作品をご覧いただくものです。

展覧会では、大下藤次郎のすぐれたコレクションで知られる島根県立石見美術館のご協力により、石見美術館所蔵の大下作品約80点に、当館所蔵の中川ほか、吉田博、丸山晩霞ら水彩画史を彩った作家たちの作品を加えた100点あまりを紹介しています。
みずみずしい感性と卓越したテクニックを堪能していただけると思います。春の訪れを告げる芽吹きのような清らかな作品ばかりです。開催中の「ミルコトカラハジマル」(2月28日まで)と合わせて、こちらも入場無料です!!

初日から関連イベントもスタート。今日は担当のboxyさんによるフロアレクチャーを開催しました。初日にも関わらず、ご覧の通り大盛況!フロアレクチャーは、この後3月13日、20日にも行います(各14:00~)。
さらに、3月7日(日)14:00~は、島根県立石見美術館の川西由里学芸員による記念講演会「明治のマルチタレント 大下藤次郎」も開催します(会場:研修室、聴講無料、申込は学芸係(089-932-0010)まで)。


2010年2月19日金曜日

そうだ京都へ行こう

take4です。
先週に引き続き、再び関西出張。
用件も、同じく先週に引き続き、展覧会の出品交渉であります。

先週は、都市部から遠く遠く離れた山の中でしたが・・・今回は滋賀・京都。
・・・で、でも、やっぱり山の奥深い場所ばかり。
「人里離れたエリア」。これ、実は、今回の展覧会の重要なキーワードなんです。
こういうところに伝わる貴重な文化財・作品が、今回の主役になります。

←滋賀・湖東(琵琶湖の東のエリア)のとある場所にて。
苔むした長い長い石段を上り詰めたところに、今回お借りしたいそれはあります。 陽は射すものの、朝から冷たい風の中を、一同ひたすら歩きます。

その場で即答はいただけませんでしたが、こちらの意図を汲んでくださり、前向きに検討してくださることに。
でも、もしお借りすることになった暁には、この上なくありがたいことですが、上まではトラックが上がれないそうなので(!)、この石段を人力で下ろさないといけません。大変だよっ。
でも、それだけ苦労しても、お借りできるのなら・・・の一心です。






→続いては、京都郊外の山中にて。
一見、さっきと同じ場所に見えますが・・・全く別のところです。
紅葉シーズンは、とんでもない人ごみで溢れ返る名所ですが、この時期はほとんど人影も無く。take4もこの季節に来るのは初めてですが、さびれた感じがまた何とも風情あり。

こちらでお願いするのは、ひときわ重要な名品ばかり。おのずと身も心も引き締まりますが、「可能な限りご協力します」と、大変ありがたいお返事。
やはり直接お会いして、お話をすることで、趣旨や思いはしっかり伝わるものですね。

大事な作品をお借りするのですから、借りる側が直接お願いに出向くのは当然のことですが、今回の展覧会は、先にも言ったように「人里離れた場所」に伝わる作品がほとんど。現地を自分の目で見、肌で感じておくのは、会場構成を考える上でも、欠かせません。 可能な限り、各作品が伝わってきた場の雰囲気を再現することも、今回の展示の重要なコンセプトなので。

ということで、今回もひとまず良き成果とともに、松山へ戻ってきました。
あれ?目がシバシバ、鼻がムズムズ・・・先週・今週と、杉林の中をめぐりめぐったせいでしょう・・・。一足先に、恒例の症状が。
でも、それは訪れる春の知らせでもありますね。

2010年2月8日月曜日

NEXT DOOR

take4です。
土曜日から、関西に出張しています。なので本日は旅の宿から。

「円空・木喰展」関連の仕事は、すでに終わったんですが・・・一息つく間もなく、次回担当(来年1月開幕)の企画展の出品交渉を行っています。
まだ1年先・・・なんですけど、作品を固めるにはそろそろタイムリミットが来つつあります。かなり大きなスケールの展示になる予定なので、普段よりだいぶ早めに動いているのですが、それでも非常にギリギリになってきました。

実は最初の最初のスタートは、さかのぼって、一昨年の秋頃。円空・木喰よりも先んじて、準備は始まっていたんです。それから水面下で少しずつ動いてきていましたが、ようやく全体の輪郭が見えてきつつあります。う~ん、久々にかなり重責・・・な展覧会なんです。でも、その分、もちろんやりがいも大いにあります。


今回は、展示の一つの柱となる重要作品のご出品をお願いするため、あるエリアを重点的に回っています。
大阪から電車で3時間・・・そこからさらに車で3時間・・・。折り重なる山々の奥深くにあるエリアですが、古来数え切れない人々を惹き付けてきた名所です。
こちらの作品は、大変貴重で、かつ容易にお借りできるものではないので・・・開催館の担当者、監修者の方、企画元の担当者、全員揃ってのご挨拶&お願いです。

まだ詳しくはお話できませんが、今回の展覧会の規模は空前のスケール、そして集めようとしている作品のクオリティも非常に高いもので、それだけに地道な労力のいること。
作品が向こうから寄ってきてくれれば楽ですけど(笑)・・・そういう訳にはいきませんので、一つずつ一つずつ、足を運んでお願いに回る他ありません。もちろんこれまでにも、残念ながらお借りしたくても、お断りされてしまったものも少なくありませんので、まあ、山あり谷あり、これこそが展覧会を作る大事なステップ。今回のエリアは、いずれもまずまずの成果がありましたので、一同ホッとしています。

肝心の内容は・・・すみません、年度末の発表まで、もうしばらくお待ちください。
このブログの緊迫感から推察していただければ・・・と思いますが、間違いなくスゴイ展覧会になると思いますので、乞うご期待。

2010年2月7日日曜日

石に描く~ミルコトカラハジマル


ただいま開催中の展覧会「ミルコトカラハジマル」の関連イベントとして、昨日、出品作家の近藤英樹さんのリトグラフの公開制作「石に描こう」が開催されました。

リトグラフという言葉は耳にしたことがあっても、実際その工程を知る人は少ないのではないでしょうか。
リトグラフは版画技法の1つで、木版や銅版のように凹凸をつけて物理的にインクがのる部分とのらない部分をつくるのではなく、油性の描画財で描き、水と油の反発作用を利用した化学的な技法になります。

言葉だけではわかりにくいですよね。
ということで、今回、自作に用いられているリトグラフの制作を公開していただきました。

通常、版材には近藤さんはアルミ板を使われているのですが、今回は、リトグラフが石の版画を意味するように、石を使ってのリトグラフとなりました。
日本では入手困難な石版石は、もちろん当館にはないので、特別に横浜美術館よりお借りしました。
それは、重さが75㎏程、何しろ男性2人がかりで運ばなければならないものです。

最初に版面の研磨。
続いて、描画。石版石に油性のリトクレヨンや解墨使って、近藤さんが“くわい”らしきものを描いた後、見学者のみなさんにも一筆ずつ描画してもらいました。油性のものならなんでもいうことで、試しに口紅で描かれる方もいました。
続いて、製版。この工程により描画部分はインクをひきつけやすく、描画してない部分は保水性を保ちインク(油)をはじく化学反応を起こさせます。表面的には何の変化もないので、みなさんマジックを見るような表情で近藤さんの作業を見つめていました。
本来、製版は版を安定させるためにも1日時間をおくところ、今回は、時間短縮で進めていただきました。
そういうことで、早くもお待ち兼ねの刷り。
紙、インクの準備が済むと、ローラーで版にインクを盛っていきます。そして、刷り。本当に描いたところが見事に紙に写しとれているではありませんか!
何枚か試し刷りをしていくとインクが版にも馴染み、いい状態の刷りに仕上がり、思わず会場に拍手が沸き起こりました。
ローラーでのインク盛りの体験を、近藤さんが見学者に呼びかけると、最初に元気よく手を上げてくれた小学1年生の男の子。小さな体で頑張ってくれました。


リトグラフの色の透明性、(色版を重ねることで)紙の上で色をつくれるところに魅力を感じ制作を続けている近藤さん。近藤さんの作品を見るとその理由がよくわかります。

                                                                        ←男の子のお姉ちゃんも刷りに挑戦! 

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